車いじりをする方は、外装・内装問わず部品を取付けする機会が多いと思います。
そんな時両面テープを使えば穴を開ける手間が省け、手軽で確実に部品を固定できます。
ただし正しい使い方をしないと両面テープ本来の力を発揮できません
ここでは両面テープの取り扱い方法を紹介します。
両面テープの種類
両面テープの中には工業用・構造用を謳った製品がありますのでそれを選びましょう。
事務用の両面テープでは力不足です。
メーカーは住友スリーエムや日東電工などが有名です。
「アクリルフォームテープ」という名前の物がおすすめ。
自分は住友スリーエム製のアクリルフォームテープをよく使います。
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幅・厚みに種類がありますので自分の用途にあった物を選びましょう
厚さは0.4mm刻みでラインナップするメーカが多いようです(0.4mm,0.8mm,1.2mm…)
厚い物の方が接着強度が高いようですが、あまり分厚い物を選ぶと見栄えがかっこ悪くなります。
テープ厚さの決め方については圧着の項目を参照してください。
貼り付け前の処理(重要!)
脱脂
両面テープを貼り付ける前に、貼り付け面をよく清掃しましょう。油分や汚れが付着していると
両面テープがしっかりとつきません。
イソプロピルアルコールやホワイトガソリンを使うと油分を除去できます。
ウェス等に少量染み込ませてしっかり拭いてあげてください。
私は乾きが早く入手しやすいイソプロピルアルコールを使います 薬局等で手に入ります。
独特の臭いがあるので室内ではしっかり換気してください。
![]() 「イソプロピルアルコール50%P
500ml【第3類医薬品】」イソプロパノール(C... |
自分で簡易的にスプレー塗装をしたようなところやアフターメーカのパーツで塗装が雑なものは、
上記の薬品で拭くと塗装が落ちてしまうのでご注意を。
またそのような所はテープを綺麗に接着できても、その下の塗装やメッキごとバリバリと
剥がれてしまう事があります・・・
◆ ◆ ◆
プライマー処理
自動車のインパネにモニターやレーダーを両面テープで取り付けようとしたら、
ちゃんとくっつかずに取れてしまったことはありませんか?
プラスチックの中にはテープ類が接着しにくい物が沢山あります。
特に自動車で自動車以外にも大変よく使われるポロプロピレン(PP)にはほとんどくっつきません!
そこで必要になるのがプライマーと呼ばれる薬品です。
◆ ◆ ◆
プライマーとは
接着しにくい材質の物に対し接着性を改善する為に塗布する薬品がプライマーです。
下図は簡単なイメージです。このプライマー処理を行うことでテープがくっつきにくかった材質にも
部品を接着することが出来るようになります。
◆ ◆ ◆
接着しやすい材料/しにくい材料
しやすい物:塗装面,メッキ面,ポリカーボネート(PC),アクリル(PMMA),等 → プライマー不要
しにくい物:ポリプロピレン(PP),EPDMゴム,ガラス,セラミック、等 → プライマー必要
◆ ◆ ◆
プライマーの選び方
材質よって最適なプライマーは変わります。
材質は部品の裏に書いてあることが多いので、もし部品を取外せる時は裏を確認してみてください。
(写真)
以下はPP樹脂・EPDMゴム等におすすめのプライマーです。
◆ ◆ ◆
プライマーの使い方
コツはべったりと塗らず、うすーく塗布すること。
住友スリーエムのPACタイプが使い切りできて便利ですが小分けではあまり売っていないのが難点。
![]() PPモール用プライマー 3M PAC
プライマー K... |
!使用時の注意!
・両面テープはプライマーが充分に乾燥してから貼り付けてください。
・プライマーにはトルエン等の有害な有機溶剤が含まれています
蒸気を吸い込まないように気をつけて!室内ではしっかり換気をしてください。
皮膚についたらしっかりと洗ってください。
・プライマーを塗った箇所は樹脂が変色したり、艶がなくなったりします。
プライマーはテープ貼り付け面だけに塗布し、余計な所に塗らないよう気をつけてください。

艶がなくなったプライマー塗布部位
◆ ◆ ◆
プライマー不要の両面テープ
両面テープの中にはプラスチックへの接着性を改良したタイプもあります。
(3M59xxシリーズを案内)
このタイプを使えばプライマー無しでもポリプロピレン等のプラスチックに接着できますので
手軽に扱えます。
ただし私の経験上、接着力はプライマー処理+通常タイプ >>> プライマー不要タイプです。
部品をよりしっかりと取付けたい場合はプライマー処理を行い、
ノーマルタイプのアクリルフォームテープを使うことをお勧めします。
加温 〜部品をあたためよう!〜
気温が低いとテープの接着力がガクンと落ちてしまいます。
とある両面テープは気温が5℃以下だと接着力は半分も発揮されません。
これではすぐに剥がれてしまいます。
気温が15度以下の日は必ず貼り付け面をドライヤー等で暖めてください
ただし暖めすぎて部品が変形しないように気をつけてください 温度の目安は25〜50℃です
圧着 〜部品を押し付けよう!〜
両面テープは押し付けられて圧縮することで接着力を発揮します。
相手物に対してしっかりと押し付けて圧着してください。接着力アップの為の大事な作業です。
テープの厚さを選ぶときは2〜3割くらい潰れ代が出来るようにしてください。
たとえばコの字の物を貼り付けるとき、下の悪い例のようにテープの厚さと部品の深さが同じだと
いくら部品を押し付けても両面テープが圧縮されず、正常に接着できません。
良い例のように両面テープの潰れ代が出来るようにしましょう。
テープの厚さは部品深さの1.3〜1.4倍の厚さの物をチョイスしてください。
コの時ではなく平たい部品の場合は潰れ代は気にしないで良いです。
なお貼り付けるときは間に空気が入らないように端から貼り付けるようにしてください。
放置
両面テープが充分な接着力を発揮するには時間がかかります。
しばらくは取り付けたものに触れたりせず、洗車は避けてください。放置時間の目安は24時間です。
「くっついたかな?」と触りたくなりますが、グッとこらえましょう。
下向きや垂直な面に取付けるときは部品の自重で剥がれる力が働きますので
放置中はマスキングテープ等で保持してあげるとよいでしょう。
まとめ
・貼付面は必ず脱脂清掃!
・プラスチックにはキチンとプライマーを塗る!
・寒い日は貼付面を暖める!
・しっかり圧着!
・24時間は動かさずに放置!
以上の手順を踏めばテープはちゃんとついてくれるはずです。
逆を言えば、ガッチリつきすぎて取り外しが大変になるかも。
これらを守って快適な車いじりを楽しんでください。